●陶芸との出合い
中学一年生の夏、美術部顧問の中西先生の面白さに引かれ、野球部から美術部に移りました。ちょうどその時、学校に初めてガス窯が入り、美術部で陶芸が出来るようになりました。中西先生には、その後、大学進学の相談に乗って戴いたり、芸大入試の為のデッサンを教えて戴き、中西先生との出合いが陶芸へのきっかけでした。平面より立体が好きであったのと、土の柔らかさ、そして何より道具を使わず、自分の指の感覚で作品が出来る陶芸の魅力に中学3年間で虜になりました。今思えば、子供の泥んこ遊びの感覚だったのかなと思います。
●大阪芸術大学について
高校時代はクラブに入らず、守口市公民館の陶芸サークルへ週一回通っていました。大学進学は理科系の大学か、芸大かで悩んだ末、大阪芸術大学工芸学科へ進学し、1回生の時は、金工・陶芸両方を勉強し、2回生から陶芸を専攻しました。中学・高校時代の陶芸は壺・花器・器など伝統工芸しか知りませんでしたが、大学でオブジェなどの前衛の陶芸を知り、かなりカルチャーショックを受けました。しかし、昔から親しんできた信楽、伊賀などの土の優しさに引かれ、伝統工芸へ進みました。
●9代白井半七先生との出合い
大学4年間で陶芸を仕事にしようと決心しましたので、陶芸家の弟子入りを考えていました。4回生の時、大学へ半七先生からお話しがあり、応募しました。すでに工芸学科の先輩が弟子入りされており、工房の雰囲気もよく、違和感なく弟子入り出来ました。弟子入りするまでは、師匠の事はまったく知りませんでした。
●修業時代について
最初、工房は宝塚でしたが、すぐに三田に移りました。工房の近くのアパートに住み、週1日休ませてもらってました。芸大の先輩萩原さんとは、半年一緒に仕事をし、その後は一人で4年半務め、独立後も三田に住み、師匠がお亡くなりになるまで、2年間師匠の仕事のお手伝いをさせて頂きましたので、のべ7年間、勉強させて頂きました。師匠に弟子入りして、初めて茶陶を知り、乾山の作品の奥深さを知りました。師匠からは数より、1点、1点きっちりと作品を仕上げなさいと指導を受けました。厳しい時もありましたが、仕事の後、私自身のグループ展出品作品造りも認めてくださったり、伸び伸びと
仕事をさせて頂きました。
本吉兆さんの先代湯木貞一様から、器について、色々教えて頂いたんですね。
8代半七先生から湯木さんとは親交があり、度々師匠と一緒又は一人で、打ち合わせ、器の納品に行きました。その都度、湯木さんは実際に器にお料理を盛り、器の大きさ、見込みの広さなどをご指導下さいました。
又、本歌の乾山の器などを見せて戴き、本当に勉強になりました。湯木さんは本当に優しくご指導下さり、師匠を可愛がっておられました。
●半七先生との一番の思い出は何ですか。
師匠は運転が出来なかったので、私の運転で、御家元様、吉兆さん、道具屋さん、美術館など何時もお供してました。又、食事にもよく連れてって下さり、本当に可愛がって下さいました。それと、弟子時代最後の年に、東京の百貨店で師匠の個展があり、作品を車に積んで、準備に行った時、初めて、画廊に一堂に並ぶ師匠の作品を見、師匠の作品価格を知り、知名度を知り、師匠の偉大さ、大きさが分かりました。
●独立後について
師匠に7年間お世話になり、茶陶の入口に立させて頂きましたが、突然師匠が亡くなられ、茶陶への繋がりが無くなり、食器中心に活動していました。そんな中、平成4年頃、やまこうさんと出会い、茶陶の道に進むようになりました。そして師匠の偉大さ、作品の素晴らしさがより一層分かるようになりました。又、地震により中止になっていた大丸心斎橋店さんでの初個展を平成8年1月にさせて頂く事が出来ました。この時は沢山の皆様にご支援を戴きました。本当に有難う御座いました。あの初個展が私の茶陶としての原点だと思っています。
●作品について
乾山写しが中心で、色絵の作品は、電気窯で焼いており。3〜4回窯に入れます。色絵の土も、年々変化しています。花器や食器などは大半、穴窯で焼き、土は信楽の土を中心に色々な土をブレンドしています。今までは師匠の作品の写しが中心でしたが、いかに変化していくか、一三作品の色を模索しています。これからは色絵に限らず幅広く、もっと個性を出した作品を心がけていきたいと思います。
●穴窯について
2基の穴窯で年2〜3回焚いています。3日間焚き、4日間冷まします。薪は赤松の割り木です。穴窯造りは本や他の窯を参考にし、勉強してきました。基礎をしてから土を約1年間ねかします。そして、仕事の合い間に窯造りしますので、期間は約3ヶ月掛かります。
●趣味は
昔はダイビングでしたが、今は妻から、穴窯造りが趣味だと言われています。
●愛犬について
名前はリキ丸で8歳になります。 東条に来てから、初めて犬を飼いました。子供がいないので、何処へ行くのも一緒に連れて行き、甘やかしましたので、凄く暑がり、寒がりで、夏は仕事場の冷たい床がお気に入りで、離れません。
●最後に好きな言葉を教えてください。
「継続は力なり」です。地道にこつこつが一番だと思います。
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